ロシアがウクライナに侵攻を開始して、2年が経過しました。
21世紀において、このようなことが起こるとは思わなかった。
ネットが普及し、ロシアの若者も中国の若者も、「西側」の若者とオンラインゲームで対戦するのが当たり前になった今、領土を獲得するための軍事侵攻が行われるとは思わなかった。
侵攻直前まで、ロシアのB級映画を見ていました。ロシアもスパイものやホラーアクションという、B級映画の王道作品が豊富な国になっていました。
何かと馬鹿にされるB級映画ですが、B級映画が豊富と言うことは、その国の娯楽の幅が広がってきたことを示しています。
イデオロギーの国では国威発揚のためのプロパガンダ映画が作られる。
国家元首を賛美する作品が作られるわけです。そして体制批判の作品は認められない。
元首相を暗殺したテロリストを賛美する映画が作られても何も言われない日本は、なんと自由な国なんだろう。どこかの国なら銃殺刑になってもおかしくありません。
ソ連という、20世紀の超イデオロギー国家の後継であるロシアですが、一時期は西側資本の餌食になってしまったものの、プーチン大統領の登場でロシア国内の政情が定まったのは事実。しかし、その強権ぶりから、発言の自由があるのか、疑問符がついていました。
そんなプーチン体制下であっても、侵攻直前の頃には体制批判ととられかねないB級映画が作られていました。
そう、ロシアは立派に「豊かな国」になっていたわけです。スーパーにはモノがあふれ、買い物に勤しんでいる。ロシア人は世界の国を旅行していましたし。
ウクライナもそうです。
同じく大型スーパーがあり、多種多様な料理を出すレストランがあり、ナイトクラブもあり、夏のフェスティバルも行われていた。黒海の綺麗なリゾートも紹介されていましたし。
侵攻前にウクライナ国民の動画を見ていたのだけど、ウクライナにある旧ソ連時代の料理を出すレストランが紹介されていました。ああ、ウクライナ人にとってもソ連時代は「過去」なんだ、と思ったものです。
ロシアの侵攻を肯定する動画も見たのだけど、冷戦時代の論客が多かった印象。
平和ボケ、ではないんです。ロシアだろうがウクライナだろうが、若い世代にとっては「ソ連時代」は「過去の事」なんです。
冷戦が終わって、ロシアという国の形、ウクライナという国の形ができてから生まれ育った世代にとって、旧ソ連時代の「米ソ対立」など、知らないし理解しようもないのです。
そんな彼らに、「20世紀の世界常識」でものを語るのが正しいのか?
管理人は北海道でも北方領土に近い方の出身で、北方領土には関心をもっていました。
そんなわけで、ウクライナ侵攻前に、当ブログでも北方領土を扱った記事を掲載していました。
尖閣ばかりが注目され、北方領土について語られる機会が少なくなった、という思いからです。
でも、諸々の事情から、掲載を取りやめていました。北海道にもロシアの人は多くいるし、別にロシアと戦争をしたいというわけでもないので。
何よりも、21世紀において「侵攻」などということが起きるとは思わなかった。
侵攻前の記事では、「北方領土に大軍は駐留できるのか?」「ロシアが北海道に侵攻することは可能か?」などを、語っていました。
ただ、当時は所詮、妄想でしかなかった。机上の空論ですね。
・・・・侵攻2年が経過し、ロシア軍の「実像」がわかり始めています。
事前の予想では、強大なロシア軍の前にウクライナはすぐに全土占領されるだろう、と思っていました。
実際には、そんなことは起こらず、当初はむしろ、ロシア軍の想像以上の弱さに衝撃を受けたものです。
不謹慎な言い方だけど、がっかりしてしまった。ソ連時代ほどではないにしろ、アメリカ軍に対抗できるのは、ロシア軍だろう、と思っていた。アメリカ軍に匹敵する最新鋭の装備、電子機器を備えたハイテク軍団、と思っていた。
それがどうだろう。
制空権を取ることもできず、量的に圧倒しているはずの地上軍も進んでいない。これまた不謹慎ながら、管理人が好きだった旧ソ連の精鋭ヘリ「ハインド」が、小型ミサイル一発で簡単に撃墜されている。
次の衝撃が、結局は兵士の大量投入(というの名の人の使い捨て)に至った、ということ。
現代の戦争では、兵士の量よりも兵器の質が良い方が勝つ、と思いこんでいました。
現在、「量」に勝るロシア軍が優勢になっている。
侵攻2年が経過し、またまた不謹慎な言い方ながら、「戦争」が身近になってしまった。
今回、北方領土について書いた記事を、古い順から再掲載してみます。
「2年後」の未来にいる皆さんにとって、最初の方の記事は「妄想」に思えるかもしれません。
しかし、侵攻前まで、ロシア軍は日本に目に見えない脅威を与えていたのは事実です。
日本も世界も、ロシア軍に対して「等身大」を離れ、過大に評価していました。
冷戦は終わったはずなのにね。
北方領土問題を抱える日本にとって、ウクライナ侵攻は他人事ではないですね。