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ウクライナ侵攻で見えた、北方領土の実像

 ここまで、当ブログで掲載してきた北方領土に関する記事を再掲載してまいりました。

 

 地図で見ただけでも、色々な予想(妄想?)ができるものです。

 

 その上で・・・・

 

 ウクライナへの侵攻が始まって、2年が経ちました。

 

 実際の戦況を知ることができた。

 

 今回の記事では、この2年のウクライナ情勢を踏まえつつ、北方領土問題について、より具体的に推測(という妄想)をしてみようと思います。

 

 

 

1,ロシアの北海道侵攻はありえない

 

 今回のウクライナ紛争では、事前の予測を大きく裏切る形で、ロシア軍が苦戦しております。

 「ロシア軍が本気を出せば、すぐにウクライナの大部分は占領されるだろう」と。

 特に首都キーウは1日で陥落するだろう、と。

 それが予想外にロシア軍は進撃できていない。それどころか、ロシアは北のベラルーシ側からの侵攻を断念せざるを得なかった。

 現在、ロシア軍は東部を占領するに「とどまっている」。

 その東部の戦線も、陸続きのロシア本土から大量に兵士と補給物資を送り込んで、ようやく維持できている状況。

 

 今回の侵攻で、世界は兵站あるいは物流の重要性を痛感させられました。

 

 ロシアのウクライナ侵攻を維持できているのは、陸続きのために補給が容易である、ということ。

 

 では、北海道への侵攻は可能でしょうか?

 

 北海道から見ると、北のサハリンと東の国後島の2方面から、ロシアが侵攻してくる!と思ってしまいますが、国後島からの侵攻はほぼ無理。

 というのも、北方領土はロシア本土からも離れているため、国後、択捉から持続的に兵力を投入することはできません。この方面から持続的に兵力を投入するためには、その前にサハリンやウラジオストクなどから兵士を移動させる必要があります。もちろん海運、もしくは空路で。国後、択捉へ部隊を移動すること自体に余計なコストがかかるし、海上輸送となると攻撃されやすい。

 

 何よりも、海を渡らなければならない、ということがどれほど侵攻を難しくしていることか。

 

 極東でのロシアの軍事侵攻は、現実的ではない、と思われます。

 

 

 

2,自衛隊による北方領土占領は、案外、できてしまいそう

 

 じゃあ逆に、日本の側から北方領土に侵攻するとどうなるでしょうか?

 そうなると、見方が変わります。

 日本から見れば、北海道から国後、択捉に持続的に自衛隊員と補給物資の輸送が行えます。

 一方で、ロシアから北方領土へ物資を補給するのはかなり困難。北方領土では長期間、大軍を駐留させることができないので、持ちこたえるのは難しい。

 さらに言えば、自衛隊が全島を占領した後、それを維持するのも容易ですが、ロシアから見れば、一度占領されてしまうと、4島を奪還するのは難しい。なんせオホーツク海を横断しなければならないので。

 

 特にロシア軍がウクライナへ集中している今、極東は「スカスカ」状態と言われています。「奪還」は可能です。

 

 

 

3,北方領土の日本帰還により、新たな「ロシア人問題」が勃発する

 

 では、日本が北方領土を奪還して、(日本から見て)ハッピーエンドとなるか?と言えば、無理でしょうね。

 北方領土には2万人のロシア人が住んでいます。この人たちをどうするのか?

 2万人ですからね。ロシアに送還するには多すぎるし、現代の常識に合わせてみても、財産を没収することが人道的にできるのか?

 

 もし、「共生」を選んだとすると、日本は自国内に「ロシア人が多い地域」を抱えることになります。

 プーチン大統領がロシア南部で20年間続けてきた「パターン」やウクライナで行っていることをみると、将来のことが、想像できませんか?

 

 いずれ「日本国内で差別を受けているロシア人を救済する!」と言って喧伝し、北方4島を「自治国」として勝手に「承認」して分割し、ロシア軍の軍事介入を行う。まあ、最後の軍事介入は難しいとしても、火種を残すことはできる。日本国内の不安定要素を握ることができるのだから。

 

 こう考えると、この問題を80年も放置してきたツケが出てしまっている。

 

 

 

 ここまで、北方領土に関する妄想を垂れ流してきました。

 

 当ブログは、基本的には「返還しろ!」という姿勢なのですが、最近、少し考えも変わってきている。

 80年が経過し、島民も3世の時代になっている。3世にとっては4島は生まれ育った故郷であり、島から出て行ったとしても、4島は「おじいちゃん、おばあちゃんのいる島」となっている。

 

 彼らから「故郷」を取り上げるのがよいことなのか。

 

 一方で、管理人の幼少のころから続いてきた「返還運動」ですが、1ミリも返還に近づいていない。というか、管理人の世代で4島の記憶がある人などいない。

 

 北方領土に住んでいた方々がまだ若く、ご健在であった管理人の世代までは、「返還しろ!」と訴え続けるのは仕方ないと思います。

 でも、これを管理人よりも下の世代に、そのままの形で受け継ぐべきなのか、となると迷ってもしまう。下の世代には、下の世代なりの4島との接し方があるのではないか?と。

 どこかで、完全に下の世代に委ねるようにしなければならないようにも思います。

 

 どうするかは君らが決めろ。 

 

 

 今となっては不謹慎ながら、ウクライナ侵攻前まで、プーチン大統領を高く見ていました。

 

 実際、プーチン大統領は、ロシア国民にとっては英雄とも言える。

 

 エリツィンから引き継いだロシアは、ソ連崩壊後の混乱が続いており、経済はオリガルヒ(新興財閥)に牛耳られている状況。新興財閥と言ったって、ソ連時代の国営会社のトップだった人間が、民主化後にそのまま会社を乗っ取ってトップになっただけ。

 その財閥から権益を取り上げて、経済人から企業を解放したのはプーチン大統領の最初の功績。

 ソ連崩壊後に独立色を強めたロシア南部を、(褒められた手段ではないにせよ)地道に平定していったのも、大きな功績。

 その間にロシアの経済は上昇し、五輪やW杯を開催するまでに至った。

 ロシア国民から見れば、強権ではあるものの、素晴らしい指導者、と言えます。

 

 しかし、それも「ロシア国内にとどまっていれば」の話。

 

 南部の平定のために様々な手段が使われたとしても、「国内」であれば、何も言えない。

 それが、ウクライナという、独立国相手に行われたというのであれば、話は別。

 

 30年間も「ウォッチ」してきた身とすれば、晩節を汚さないで欲しかった。

 

 

 ウクライナ侵攻直後、動画サイトで、ウクライナのどこかの農村で捕まったロシアの若い兵士が、ガクガク震えながら、現地のおばさんから出されたお茶を泣きながら飲んでいるのを見てしまった。

 お年寄りの思想を実現するために、実際に血を流しているのは、オンラインゲームで世界の連中と仲良く対戦している若者ばかり。

 

 ヒューマニズムに陥った?国益を考えろ?正義と悪だけで語るな?

 ウルセー!

 

 実際に血が流れているし、死んでいる。

 

 それを悲しく思い、これ以上、無駄な血が流れないように願って、何が悪い!

 

 

 

 北方領土について、2年前は妄想でしかなかったけど、現在はもっとはっきり考えています。そして80年が経過し、そろそろ何かを決める時期に来ているのかもしれません。