昨日、一部には驚きのニュースがありました。
なんと、大樹町に「宇宙港」などという、SF少年(中年?)の心をくすぐる建物があり、そこにJAXAの基金が100億円も支出される!
・・・・これ、全国の人や道民にとっても、無関心か、「ああ、凄いね!」という受け止め方かと思うけど、管理人と同じ世代では感慨深いものがあるのでは?
大樹町の「宇宙港」ですが、そもそもの始まりは、なんと1985年くらいとのこと。
で、管理人と同世代の人なら、このくらいの時期から、大樹町が宇宙基地を誘致し始めた、というニュースを耳にしたことがあったのでは?
その関連として、大樹町で「宇宙少年団」(正式名称は不明)が立ち上がって、道内ニュースなどで取り上げられていました。
正直言ってね、子供心に「何やってんの?」って、思った。
宇宙基地なんて、北海道にできるわけないじゃん、って。
当時の宇宙開発は、最先端中の最先端で、アメリカとソ連、欧州が競い合う「国家レベル」の事業だったのです。民間企業がロケットを飛ばす、なんて考えられなかった。
だってスペースシャトルの時代ですよ?
今の若者って、スペースシャトルを知っているのだろうか?
それまでのロケットと言えば、ミサイルみたいな形のものばかり。
そんな中、突然登場したスペースシャトルは、とにかくかっこよかった!
しかも何回も使用できる、とのこと。当時はそれが「効率的」と思われていた。
あのスペースシャトルの登場は、宇宙分野でアメリカが圧倒的にリードしていることを、冷戦下の世界に知らしめました。
ピラミッドと言えばエジプト、コロッセオと言えばローマが浮かびますね。
蒸気機関車が産業革命やイギリスの象徴としてイメージされます。
20世紀とアメリカの象徴となったのが、スペースシャトルでした。
スペースシャトルは、言葉ではなくその容姿だけで、アメリカの技術の高さを物語っていました。
そんなスペースシャトルの時代に、しかも日本のロケット技術も決して有名ではなかった時代に、大樹町に宇宙ステーションを作る?
何を考えてるんだ、と。21エモンの読み過ぎじゃないのか?と。
ちなみに、管理人は小学校時代に21エモンにハマりました。藤子不二雄の科学への憧れを形にしたような作品ですので、ぜひ読んでみて。
とにかく、妄想じみたことを始めたもんだ、と子供ながらも思った。
当時、各地で「ミニ共和国ブーム」みたいなのがあって、地方の町おこしイベントが各地で頻発していまして。それがやがて、悪夢の博覧会ブームへとつながっていくのですが。
やがてバブルを迎え、崩壊。地方創成ブームは影を潜めますが、大樹町では宇宙関連の実験が、細々と続いていたらしい。
その沈滞ムードが一転したのが、2011年。
そして2013年に、宇宙ロケット開発会社「インターステラテクノロジス」を、大樹町に設立するに至ります。
いやあ、ホリエモン(失礼ながら、こちらで使わせていただく)の力って、すごいよね。
知名度の高いホリエモンが事業を開始したことで大樹町は注目を集め、翌年の2014年には、宇宙政策担当大臣という閣僚が、大樹町を初訪問するに至るのです!
事業を立ち上げた1985年から30年近く経って、ついに閣僚がやってきた!
その後もホリエモンは大樹町で事業を続け、インターステラテクノロジズは失敗を繰り返しながらも規模を拡大し続け、ついに2021年に大樹町が宇宙港を建設するに至ります。
これがどれだけ凄いことか。
北海道の9割くらいの自治体では、人口が急減しています。過疎化の街ばかり。
しかし大樹町では、なんと人口が増えているんです。もちろん増加数は少ないとはいうものの、減ることが当たり前の中で、確実に人口が増えている!
民間の宇宙事業が拡大するとともに、それに関連する人口も増えているのです。
やっぱり産業を興すことこそ、人口減の根本解決策。
で、ついには町の予算を使っての宇宙港建設に至った。
ネット上ではたくさんの「投資家」という人たちがいらっしゃいます。
しかしその多くは、株を買って売る、だったり、土地などを転売する、だったりする。どちらかというと財テクとか金融で、お金を増やしている。
ホリエモンもその内の一人という印象がありますし、お金が増えないものは興味がない、と思ってしまいがちですが、ホリエモンの凄いのは(別に熱烈なファンというわけではないですよ)、過疎の町に事業を興して人口を増やしてしまった、というところ。
過疎の町にロケット会社を作るって、大抵の日本人は「お金をドブに捨てるようなもの」って思ってしまうと思う。
で、ついには行政を動かしてしまう。
やっぱりホリエモンって、事業家として凄い人なんだと。こんなことができる「投資家」が、何人いる?
そしてついに、1985年の「妄想」から始まった事業に、総本山・総元締めのJAXAから大きな予算が許可される事態にまでなりました。(JAXAと大樹町の関係は以前からあったのだけどね)
まさかここまでになってしまうとは!
これ、当時の宇宙少年団にいた少年は、どう思っているんだろう。本当に宇宙が町の産業になってしまった。
やっぱり、主導権は明るいビジョンを持っている人に任せるべきだ、と実感した今日この頃。