さて、長らく知床を紹介してきましたが、まだ午前中。ただ、札幌に帰るためにはそろそろ出発しなければなりません。おそらく、札幌から最も遠い場所にいるので。
以前までは意識していなかったのだけど、斜里から札幌までの距離って、東京から東に出て名古屋を超えるあたりまでに匹敵するんですって。
そう思うと、遠くまで来ちゃいましたね。
ただ、帰り道も色々と寄り道しちゃいました。
これはトウフツ湖。年中、鳥がいます。
こんな感じ。GWくらいまでは白鳥もいたんだけど、この日はいなかった。
背後に斜里岳があります。トウフツ湖も湿地に囲まれています。
で、ですね、天気も良かったので、管理人の好きな場所によることにしました。
網走の天都山にある流氷博物館です。
ここには流氷の展示室があって、年中、流氷を体験できます。
とはいえ、管理人は今更、流氷を体験したかったわけではありません。
流氷博物館には展望台がありまして、ここからの眺めが素晴らしいのです。
これは流氷館から東を向いた風景です。オホーツク海の向こうに、これまで紹介してきた斜里岳、知床連山があるのがわかりますか?
写真中央にあるのが斜里岳ですが、斜里はあの山の麓にあります。そう、対岸まで来たのです。
湾のカーブがわかりますね。そして斜里岳。富嶽三十六景のように見えますね。
またまた地図を見ていただきたい。網走から知床を見ると、上の画像のように見えるのです。
そして、海に浮かぶ知床連山。
そう、宇登呂にいたときは狭隘で急峻な地形を感じさせましたが、遠景では、海に浮かんでいるように見えます。羅臼からの知床連山は、また違って見えるので、南北の両方から見てみよう!
さて、今度は西に目を向けてみましょう!
これをご覧いただきたい。わかりずらいかもしれないけど、二つの湖が写っています。
わかりやすいように夏の風景も掲載しますと
こんな感じ。
上と下に湖がありますね。
上が能取湖。下が網走湖。湖が薄い陸地を挟んで近接しています。
どっちも日本の湖の大きさランキングで15位以内に入っています。確か・・。
それくらい大きな湖が、ここまで近接しているのはここくらいなもの。
で、ですね、管理人が訪ねたのは4月上旬であったにも関わらず、雪が降ってしまった、と書きましたが、おかげで面白い光景を見ることができまして。
これは2024年4月上旬の風景。
この画像を見て、どう思います?
網走湖は、凍ている面積が大きいですね。
網走湖は、冬はカチンコチンに凍ります。そのため、ワカサギ釣りの名所となります。冬になると氷に穴をあけて釣り糸を垂らしている釣り人が多数おります。
そのくらい、寒いし、凍る。
それに対して、こちらの能取湖は一年中、凍りません。
え?なんで?
地理的にはここまで近接しているのだから、冬の寒さも同じ。それなら同じ湖なら能取湖も凍るはず。
汽水湖とは、淡水と海水が混在した湖のこと。
網走湖には、網走川を通じて海水も流入します。また周辺から淡水も集めている。
そして、混在する、といっても、混ざり合うことはありません。比重の重い海水は網走湖の深い層へと沈み、比重の軽い淡水が湖の上層に浮かびます。
そのため、網走湖は深層の海水と浅層の淡水という具合に、2層構造になっているのです。
これは広く言えば、オホーツク海の特徴でもある。
オホーツク海は閉じられた海である上に、世界的な大河川であるアムール川から淡水が流れ込んでいるため、塩分が低く、上層の淡水と下層の海水、という2重構造となっています。だから海が凍り、流氷となる。凍っているのは淡水です。
網走湖は、前日の吹雪で凍っている部分が白く彩られたのでした。
一方で、ではなぜ、能取湖は凍らないのか?
またまた地図を見てもらいたい。能取湖は湖ですが、一部が海とつながっている。
そう、能取湖は湖ではあるものの、海水がメインの「海水湖」なのです!
なので、寒くても凍らない。
前日の吹雪は、網走湖と能取湖の性質の違いを教えてくれました。
え?じゃあ、同じく海とつながっているサロマ湖はどうなんだ!って?
では、サロマ湖の冬の景色(数年前のもの)をご覧いただきましょう。
ご覧の通り、カッチンコッチン。そう、サロマ湖は汽水湖なのです。
オホーツク海沿岸には、無数の「海跡湖」があります。コムケ湖、サロマ湖、能取湖、網走湖、藻琴湖、トウフツ湖・・・・。
しかし、この中で海水湖は能取湖だけ。
見た目の地理だけではなく、地形・地理の性質にも目を向けると、非常に面白いですよ。
夏の様子をもう一度。薄皮一枚で仕切られているだけなのに、性格は異なるのです。
道東を旅する時は、ぜひ、地図を携帯していただきたいと思います。それも県境地図、道路地図ではなく、地形図を。
そして、地図上の様子が、実際にどのように見えるのか、を体験していただきたい。
オホーツク地方は、それを体験できる場所がたくさんあります。
地図好きになる!とまではいかないまでも、地図や地形の面白さを感じることはできます。
豪華列車ツアーともなれば、利用する人も限られてくると思われます。
その人たちを「キレイな景色」「美味しい食べ物」だけで満足させることができるとは思えない。それにプラスして、好奇心を刺激できれば。
道東には語れるだけの「地理のお話し」がたくさんあるし、鳥や動物も豊富な地域なので、語れることはたくさんあります。
見る、食べる、そして「好奇心もお腹いっぱい」になってもらえるツアーにしてもらいたいと思います。
最後は、耕したばかりの畑の風景を。
夏の黄金色の様子も見てもらいたいですね。
以上。
また次のツアーを提案します!