思い返せば2年前。
世界はいまだ、コロナの真っただ中。
そんな中、いつも以上に暑かった東京で、東京五輪が開催された。
開催を巡って国論は分かれ、開会式会場の外ではデモが発生する異常な空気の中、大会は決行された。
賛否両論が渦巻く中、国民は一人の若者の姿を目撃することになる。
2021年8月3日に行われた、サッカーの3位決定戦。
日本代表は53年ぶりのメダル獲得をかけ、強国スペインを相手に戦い、延長の末に敗れた。
試合後、まだ20歳だった久保選手が、フィールド上でのたうち回る姿が、延々と中継された。傍から見れば、ケガの激痛にもだえ苦しんでいるようにも見えるほど、彼は号泣していた。
実力不足を思い知らされたのか、逆に「もう少しだったのに」と実力を出せなかったことを後悔しているのか。
若いとはいえ、「プロ」であり、「日本代表」であった彼が、臆面もなく「泣きじゃくって」、悔しさを表現している。
少なくとも管理人は、その姿を見て「みっともない」などといった野暮なことは思いつかなかった。
むしろ「日本にメダルをもたらしたかった」という思いが、テレビ画面から痛いほど伝わった。コロナに怯える中、彼は彼のできる手段で未来を変えようとしていた。
それから2年後、久保選手は、その時の敵地・スペインのチームで、英雄となろうとしている。数試合続けてマン・オブ・ザマッチを獲得し、チームの中心的存在に。
インタビューに答える姿には自信が満ち溢れ、それでいてホームのファンへの感謝も忘れない。
チームからも地元ファンからも、絶大な信頼が寄せられている存在になっていた。
たった2年ですよ、2年でここまで変わる。
若者には何が刺激になるのか、わからない。
その他にも三苫選手もワールドカップ後に欧州で大活躍し、今期の開幕戦でも世界が喝采するスーパーゴールを決めているし、他にも多くの選手が「W杯後」に大変貌を遂げている。
今回のドイツとの試合の前、日本国内の世論は「今回は勝てないだろう」というのが大勢。管理人もそうだったんだけどね。むしろ「やべ、ドイツを怒らせちゃったぞ」くらいに思ってしまった。
しかし、久保選手、三苫選手など、すでに欧州リーグで戦っている選手は「勝てる」と明言していた。いや、例え30年前の日本代表が当時のドイツと戦うことになっても、試合前には選手本人は「勝ちます」と答えていたでしょう。しかし心の底から思っての発言かは別。
今回の「欧州組」の発言は、そんな「前口上」「お約束」なセリフなどではなく、実地に体感していることを元に、確信しての発言だった。
そして、勝った。
これは全然違うよ。
「やったら勝っちゃった」でもなく、実際に相手の実力を把握して、「こうやれば勝てるのではないか」と確信して、勝利した。
こちらで言えば、たった9ヶ月ですよ。
彼らに必要だったのは、持っているものを全部開放する「きっかけ」だったのだ!
そして、選手のインタビューから読み取れたのは、「次のワールドカップでベスト8に進むにはどうすればいいか」「ワールドカップで優勝するにはどうすればいいのか」ということを、妄想ではなく真剣に考えている、ということ。
そんなに遠くない将来、日本人は驚くようなニュースに接することになるかもしれない。
長くなっちゃったので続く