昨日から泊りがけの用事があって、パソコンに向かえず。本当はメキシコ戦に勝利したことで、書きたいことがいっぱいあった。
日本の優勝が決まった後も、すぐに書きたかったが、仕事で時間ができなかった。
そして決勝の再放送を見て、今、ようやく書き始めている。
決勝は、あまりにも出来過ぎていた!
本当に最初からシナリオが存在するかのように思えた。
先発は横浜の今永。
この一か月間、栗山監督のやり方を目の当たりにしてきた人にはわかるでしょ?
なぜ、監督が記者会見で先発の名前を即答したのか。
栗山監督が断言するときは、ただの先発以上の意味がある。
今永はホームランこそ許したものの、前試合で大量得点していたアメリカ打線の攻撃を最小限に抑えてくれた。彼は栗山監督の求める結果を示してくれた。
その後、栗山監督は、戸郷、高橋、伊藤、大勢と、勢いのある若手を次々と繰り出す継投を実行!
「手札を隠す」どころか、全て出してやる!と言わんばかりに、強いカードを惜しみなく場に出していく。まるでメジャーのスカウト相手に「日本の凄い投手」の見本市を開いてしまったかのよう。
解説陣は「勝負に出ている」「変わった起用法をしている」と解説。
でも、10年も栗山野球を見てきた日本ハムファンは、これも「なんか見たことがあるなあ」と思ったぞ!
これは先発不足のシーズンに「オープナー」とか「ショートスターター」と言って、ローテーションの谷間に栗山監督が実行した投手起用じゃないか!!
そう!村上の4番固定といい、この日の小刻み継投と言い、栗山監督は今回のWBCで、何ら「新しい作戦」を使っていない!成功の可否は別にして、全て栗山監督が実行してきたことばかり!!
大谷が目立つこの1か月でしたが、実は栗山監督こそ、このWBCにこれまでの野球の経験の全てをつぎ込もうとしていた!!!
しかし、そんな監督や観客の思いなどとは関係なしに、日本の若い投手陣はマウンドで躍動していた!
何も臆していない。どこにも気おくれを感じさせない。むしろ「アメリカで、多くの国に中継されている中、メジャーリーガー相手に」投げるチャンスを与えられたことに喜びすら感じさせる!
これは東京五輪、北京五輪、サッカーワールドカップを通じて感じていたことなんだけど、今の若い世代はむしろ、自分の実力を試す場を求めている。世界を相手にどこまで通用するのか、知りたくて仕方がない、って。
管理人の世代まで、実際に行う前に、色々な競技で世界との「差」を感じていたようにおもう。日本人がメジャーでプレーするなんてありえない、という感覚を他の競技でも感じていた。
しかし、今の若い世代はむしろ逆なのでは?
この決勝の場面で、むしろ「目立ってやる!」というむき出しの野心を感じさせた!
頼もしいじゃないですか。
投手陣でメジャーを震撼させている一方で、打線も栗山監督の期待通りに活躍していた!
何といっても村上の1発!!
指揮を執って以来、4番を任せられてきた村上ですが、確かにここまではよい成績ではなかった。このまま終われば、世間は彼にどういう「声」を聞かせていたか。
しかしそれでも栗山監督は起用し続けた。
そしてついに、村上に「勝負所」がやってきた!
決勝で負けている場面での打席。ここで見事なホームラン!
前日のサヨナラヒットと、この日のホームランで、彼は「戦犯」から一転して「英雄」になってしまった!
「それまでの評価が一変するかもしれない場面」というのが確かに存在します。ここで結果を出せば、それまでのことは一気に吹き飛んでしまう、という場面が。
栗山監督は、選手にその場面を用意することに秀でている。
しかし、監督にできるのは用意することまで。その場面を生かすも殺すも選手次第。 もし、それを選手が生かせなかったら、監督の評価まで下がってしまう。
正に心中ですな。
この心中の場面に、栗山監督は成功も失敗もしている。それでも監督は、これを続ける。
村上は、与えられた勝負所に見事に勝利して、自身の評価を高めることに成功!
そして岡本。彼もメジャー相手の決勝で、見事にホームラン!
彼もまた、メジャーのスカウトの前で自分をアピールすることができた。
次の8回のマウンドに立ったのは、ダルビッシュ!!
これは長年、栗山監督が持ち続けた夢。自分が指揮を執るチームで、自分がダルビッシュを起用する。しかもWBCの決勝で!
しかもしかも、ダルビッシュ自ら志願した、って、彼もまたWBC決勝の意味を理解していた!
そのダルビッシュはホームランを被弾し、出塁を許す。
その場面で、守備陣がマウンドに集まった!
1か月前、ダルビッシュがチームに合流し、投球練習をしたとき、選手たちはまるでスターを見るように、彼の投球を見ていた。傍目に見ても、彼らがダルビッシュを遠い存在としていたことが伝わった。
それがどうだろう。一か月後のWBCの決勝で、ダルビッシュをチームメイトとして支えようと集まっているじゃないか!そこにはすでに距離は存在していない!ダルビッシュが縮めて、試合をする中で、もはや彼は遠い存在ではなくなっていた!
同時に、それは、選手たちがメジャーリーグとの距離も感じなくなっていた現れでもあった。
日本選手のメジャーへのコンプレックスを失くし、アメリカとも伍するチームに仕上げ、役目を終えて去って行った。見事としか言いようがない!
そして大谷が登場!
これも日本ハムファンにとっては既視感でしょう。
2016年のソフトバンク相手のクライマックスシリーズで、栗山監督はこれをやった。
あの時、ドーム中がどよめいた!本人じゃないのに見ているほうが武者震いをしていた!!
勝てば日本シリーズ進出決定!という場面が用意された!
そこで大谷は165キロを披露。目立つとこで目立ちまくった。
この時の大谷はクールだった。それが当時の「大谷らしさ」でもあった。
あれから7年。
同じ場面で登場した大谷はどうだ!クールさなんて感じさせない!
吠えまくり、怒鳴りまくり、暴れまくっているじゃないか!!
彼は、この日、この場面で起用された意味を、最大限に活用している!!
7年の時を超えて栗山監督が彼に用意した場面で、彼は最高の形で締めくくった!!
日本代表が、本気のアメリカ代表を相手に勝利!
ついについに、悲願の世界大会優勝を成し遂げた!!
最初から、最後まで、栗山劇場でしたね、監督。
この日の結末は、2012年に日本ハムが大谷を指名したときから始まっていた。
もし、栗山監督じゃなかったら、二刀流は実現しなかった。
栗山監督は、一度、見込んだら変えないんだって!!
二刀流を貫いたじゃないか!!
あれから10年が経ったのか。
あの日の指名は、全てこの日の決勝の、トラウトとの対決のために起こったことだったのか?トラウトという最高の選手と、二刀流で対決するためにここまで続けてきたのか?
栗山監督の起用を見ていると、本気でそう思ってしまうのです。
そう考えると、長かった栗山監督のストーリーの完結にふさわしい!!
素晴らしい脚本です。こんなに出来過ぎたおとぎ話は存在しない!!誰か絵本か小説にしてくれ!!
これにて、栗山劇場は終了。
・・・・ではない!!
このWBCで、村上にしろ岡本にしろ、佐々木、山本由伸、戸郷、大勢、高橋、伊藤にしろ、若い選手が「世界」を経験してしまった!
一度、見てしまった以上、自分のチームに戻っても、かつての「目線」には戻らない。彼らはこれから心のどこかでメジャーを意識するはず。
その視線のどこかに、メジャーが見えてしまうはず。
大谷が入団したときから、道民は「いつか彼はアメリカに行くだろう」と思っていた。だから大谷の活躍の先に、常にメジャーが見えていた!
WBCに参加した選手のチームのファンは、これから選手と一緒にメジャーを見続けるでしょう。
それこそ、栗山劇場。まだまだ続く。
栗山監督についていえば、栗山町でもパブリックビューイングが行われたとのこと。
優勝の瞬間、地元の子どもたちが「栗山(町)最高!」「栗山に住んでてよかった」と語っていました。
地元をそんな風に言える子供が、何人いるだろうか。多くは「こんな田舎」から早く都会に出たがるでしょう。
栗山町は監督のおかげで、世界と直結してしまった!
栗山町では栗山劇場がまだまだ続く!WBC決勝の続きを見たい人は、栗山町へ行くべし!!
どうですか、皆さんもすっかり「栗山ファン」になっちゃったでしょう?