先日、発売された「財界さっぽろ」の7月号に、知床の携帯基地局の整備を推進してきた国会議員の方のインタビューが掲載されていたので、早速見てみました。(ちゃんと買いましたよ)
正直言うと、偉そうに政治のことも語ってしまっている当ブログですが、個人の政治活動までは言及したくないというのが本音。
一応、言っておきますが、管理人はいかなる政治団体にも所属しておりません。
ああ、管理人の職域の政治団体には加入しておりますが、熱心に活動しておらず、職域で推薦する人を参考にして投票する、だけ。
さて、記事の内容ですが、知床の携帯基地局の設置は、地元、特に羅臼町の漁業関係者の要望で建設されることになった、という主旨。
ただ、ですね、記事の中で、一言も「太陽光パネル」という単語が出てこなかった!
正確には、記事冒頭の流れの説明の中で出てきましたが、記事の核心であるインタビューが始まると、一文字もでてきませんでした。
インタビューでは、終始、基地局設置の経緯と必要性が説明されていました。
が、その電源としての太陽光パネルに関しては、何も説明がありません。
これ、道内の放送局でも同じことが言えるんだけど。
反対を訴えている側は、「携帯基地局の設置」に反対しているのではありません。
「携帯基地局の電源として太陽光パネルを設置すること」に反対しているのです。
でも、道内で報道される際も「基地局の建設問題」となっている。
論点のすり替えを行おうとしているように思えます。
基地局の設置には反対しません。最小限の設置で済むのなら。本当は手つかずの自然を守らなければならないのだろうけど。
自然遺産の最奥部である知床岬周辺の森林を7000平方メートルに渡って伐採し、264枚もの太陽光パネルを設置すること、に反対しているのです。
しかも後に羅臼側にも300枚設置することが判明しましたし。
電源としての太陽光パネルですが、一年の半分は雪に覆われている知床岬で、果たしてどれだけの期間、電源として稼働するのでしょうか?
太陽光パネルである限り、通年で運用できない基地局になってしまうのは自明の理。
また、雪の重みで太陽光パネルが押しつぶされる事例も出ています。
メガソーラー発電所が大雪で廃墟化の予感・山形の廃スキー場サンマリーナ玉庭 (youtube.com)
まだ都市部に近く、除雪ができる地区ですら、この有様です。冬の間は流氷などもやってくる知床で、どうやってメンテナンスをするのか?
また、破損してしまった場合にはカドミウムなどが漏れ出す恐れがあり、自然遺産において土壌汚染を引き起こしかねません。
さらに言えば、特に冬季に突風となる知床岬において、パネルが飛んでしまったら、周囲の自然にも影響を与えかねません。
結局、電源としての太陽光パネルは、知床岬には適していないのです。
観光客回復のための措置としてならば、富士山の例が参考になると思われます。
富士山も携帯電話が使用できますが、それは観光シーズンの7-9月の間に臨時基地局を設置して、電源は山小屋の発電機を使用するというもの。
観光シーズンに限り、文吉港に発電機を設置し、知床岬に臨時基地局を設置する、という方法があります。
それでは漁業関係の問題解決にならない、という意見も出るかもしれませんが、どのみち太陽光パネルなら、観光シーズンしか稼働できません。
結局、衛星電話や無線などの設備を援助する、というのが根本解決になると思われます。
それか、世界遺産返上して、開発するか。
地元に世界遺産がある、ということが、どれだけ特別な意味を持つのかは、地元にいたらわからないかもしれない。
全国には「平凡な田舎」が無数にあります。なんの変哲もない田舎ばかり。それは北海道にも溢れていますが。
その中で、「世界遺産」があることで、斜里と羅臼は特別な存在になっている。
基地局の設置と世界遺産を、どうやったら両立させることができるのか?
この問題を、ぜひ徹底的に考えてみてほしいと思います。それは全国で太陽光パネルに悩んでいる地域の解決策にもなると思う。
・・・・・とにかく、今回の「財界さっぽろ」の記事では、「なぜ太陽光パネルじゃなければならないのか?」についての疑問は解消されませんでした。
追記
数万年に一度の地震を心配して原発を設置することには反対するのに、毎年のように破損してカドミウムが漏れ出す恐れがある太陽光には反対しないんですね、と嫌味を言っておきます。