意識低い系、日本代表宣言!!

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ランゲルハンス島からの手紙

 

 「僕の家と学校のあいだには、川が一本流れている。それほど深くない、水の綺麗な川で、そこに趣のある古い石の橋がかかっている。バイクも通れないような狭い橋である。まわりは公園になっていて、キョウチクトウが目かくしのように並んで茂っている。橋のまん中に立ち、手すりにもたれて南の方に目をこらすと、海がきらきらと光を反射させているのが見える。・・・・」

 

 

 いきなり流麗なポエムを詠んでしまって申し訳ありません。

 

 まあ、管理人が書いた文章ではないんだけどね。

 

 どなたの文章か、わかりますか?

 

 優しくも繊細で、言葉が流れてくるように頭に入り、それが表そうとする風景まで浮かんでくる。

 

 この文章は村上春樹氏の作品「ランゲルハンス島の午後」からの引用です。

 

 文章からは、色彩溢れるランゲルハンス島の春の様子がつたわってきます。

 

 

 

 先日(令和6年4月10日)の読売新聞の一面の見出し

 

「ブタ膵島移植 臨床研究へ」

 

 とありました。

 

 「膵臓の細胞が正常に働かない1型糖尿病患者に、ブタの膵臓組織を移植する臨床研究を、国際医療研究センターなどのチームが来年にも実施する計画であることが分かった」とのこと。

 

 

 膵島は膵臓にある細胞で、アミラーゼやインスリンなど、消化酵素を生成・分泌する重要な細胞。

 インスリンを分泌することから、血糖値のコントロールに非常に重要な役割を担っています。

 1型糖尿病とは、ストレートに言うと、インスリンを分泌する膵島が破壊されることでインスリンが不足し、血糖値を下げることができなくなってしまった糖尿病のこと。

 

 もしブタの膵島の移植に成功すれば、糖尿病治療に画期的な進展がみられることでしょう!

 

 

 ・・・・・・そんな中、日本のハルキストの方々は、ニヤリとしてしまったのでは?

 

 この膵島ですが、ドイツ名「Langerhans-Inseln」、日本での直訳名「ランゲルハンス島」。

 

 そう、村上春樹氏の描いたランゲルハンス島の風景は、この膵臓の中にある細胞にちなんだ、妄想の風景。

 

 旅行で行ける島ではありません。

 

 このランゲルハンス島を発見したのは、ドイツの医師、パウル・ランゲルハンス。

 

 彼は生涯を観察と研究に捧げ、数々の発見をしました。

 

 このランゲルハンス島の発見はその代表格。

 

 で、高校時代に村上春樹にかぶれていた管理人は、ランゲルハンス島についても知っていて(そして自慢して)、ハルキストを自称していたのですが、大学生となり、国家試験の勉強中に、皮膚や粘膜に関する分野で「ランゲルハンス細胞」という単語が出てきて、混乱しました。

 

 え?膵臓にあるはずのランゲルハンス島が、なんで粘膜に関係しているの?

 

 で、調べて見たら皮膚の分野で出てきた「ランゲルハンス細胞」と、膵臓の「ランゲルハンス島」は、全くの別物とわかったのです。

 

 どっちもパウル・ランゲルハンスが発見したため、同じ「ランゲルハンス」を冠する名前となっていますが、両社は全く別のものです。

 

 ランゲルハンス「細胞」は、表皮に存在する免疫に関係する細胞で、アトピー性皮膚炎とも関係があるらしい。

 

 免疫も面白いよ。酵素だけで「免疫ペディア」なんていう1冊の本ができるくらいですからね。

 

 

 とにかく、パウル・ランゲルハンスは、実際の島こそ発見していないものの、医学の分野で大航海と大発見をした人物なのでした。

 

 

 GWはハルキストになって、ランゲルハンス島へ旅しに行こう!