最初に取り上げるのは、ユーロ圏のです。
欧州連合EUは、欧州を中心に27か国が加盟していますが、EUの加盟国すべてが通貨「ユーロ」を使用しているわけではありません。
ユーロを使用しているのはEU内の20か国ほど。
EU全体の人口は4億7千万人ですが、ユーロ圏の人口は3億4千万人となっています。
今回は、その3億4千万人のユーロ圏内の都市人口ランキングを見てみましょう
・・・・・その前に、ユーロ圏の国の総人口のランキングを見てみましょう。
1位 ドイツ 8300万人(世界17位) (GDP 世界3位)
2位 フランス 6500万人(世界22位) (GDP 世界7位)
3位 イタリア 6050万人(世界23位) (GDP 世界8位)
4位 スペイン 4670万人(世界30位) (GDP 世界15位)
以下、いきなり数字が小さくなる
5位 オランダ 1700万人(世界66位) (GDP 世界18位)
6位 ベルギー 1153万人(世界78位) (GDP 世界23位)
7位 ギリシャ 1047万人(世界86位) (GDP 世界54位)
8位 ポルトガル 1022万人(世界87位) (GDP 世界49位)
9位 オーストリア 895万人(世界96位) (GDP 世界28位)
10位 フィンランド 553万人(世界114位)(GDP 世界48位)
11位 スロバキア 545万人(世界115位)(GDP 世界62位)
12位 アイルランド 488万人(世界122位)(GDP 世界26位)
13位 クロアチア 413万人(世界128位)(GDP 世界78位)
14位 リトアニア 275万人(世界139位)(GDP 世界80位)
15位 スロベニア 207万人(世界146位)(GDP 世界87位)
16位 ラトビア 190万人(世界148位)(GDP 世界94位)
17位 エストニア 132万人(世界152位)(GDP 世界97位)
18位 キプロス 119万人(世界155位)(GDP 世界104位)
19位 ルクセンブルグ 61万人(世界164位)(GDP 世界73位)
20位 マルタ 44万人(世界169位)(GDP 世界123位)
ユーロ圏の総人口は3億4千万人ですが、こうやって分解してみると面白いことがわかりますね。
1億人近いドイツから、40万人の都市レベルまで実に幅広い。
これをさらに大雑把に分類してみると
①大国・・・・ドイツ、フランス、イタリア、スペイン(計2億5千万人)
②中の上・・・オランダ、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、オーストリア
(計5817万人)
③中の下・・・フィンランド、スロバキア、アイルランド、クロアチア
(計1999万人)
④小国・・・・リトアニア、スロベニア、ラトビア、エストニア、キプロス
ルクセンブルグ、マルタ(計1028万人)
偉そうに大国だの小国だの言ってますが、あくまで人口だけの区分けですのであしからず。
こうやってグループに分けてみると、「大国」としたドイツ、フランス、イタリア、スペインの合計人口2億5千万人が、ユーロ圏の大部分を構成していることがわかりますね。
この中で「小国」としたグループは、その人口の少なさから、ユーロ以前の自国通貨の時代にすでに他国の通貨の影響を大きく受けていたと思われます。というか、実質上は経済の影響が大きい隣国の通貨を使用したほうがよかったのかもしれない。
となると、小国や「中の下」としたグループにとっては、むしろユーロを導入した方がいいかもしれない。
名目上は大国と同じ通貨を使用することになるのだから、むしろ自国通貨よりも価値が上がった通貨を使用できるようなもの。
逆の逆もまた真理、で、ドイツなどの大国も、ユーロ以前のマルクなどはむしろ高くなり過ぎていたため、ユーロによって自国通貨の高騰が「見た目」では抑えられ、むしろ輸出に優位になった。
前回の記事にある通り、ドイツは経済の求心力を持つ巨大都市をもたない(どちらかというと)輸出型の国。ユーロ加入はドイツにとっては好都合だったと思われます。
一方で、マルクを「薄める」のに利用されちゃった感のあるフランス、イタリア、スペインや「中の上」のグループにとって、ユーロ導入は自国の利益となっているのか、考えないといけないですね。
つーか、よく考えればドイツとフランスが同じ通貨というのも不思議なもんだ。
で、この国の人口ランキングをもう少し深堀すると、GDPに注目してみましょう。
スペインはユーロ圏内で4500万人の大国ですが、GDPは15位。
一方で、オランダは1700万人と、スペインの3分の1の人口ですが、GDPは18位)
そう、人口が大きいからと言って、GDPもそれにあっているとは言えない!
そうやって見ると、「中の上」のギリシャはユーロ内人口7位ですが、GDPは54位。
逆に「中の下」のアイルランドはユーロ内人口12位ながらも、GDPは26位。
そう、ユーロ圏内でも、経済力の違いがあるのです。
また、旧東側諸国はユーロ圏内では、GDPが低いと言える。
いまだ東西の経済格差が残っている、と言えるのでしょうか?
そうなると、旧東側諸国の人口とGDPが少ない国にとって、ユーロ加盟は、国際社会で経済的に生き残る手段であったとも言える。
さて、こう見てみると、EU内でも経済格差があることがわかる。ドイツと旧東側諸国の物価が同じとは思えない。給与面でも同等とは言えませんし。
またユーロ圏内では各国は独自の経済政策を行う際に、他のユーロ諸国の「介入」や「干渉」を受けざるを得ませんが、その主導権がドイツやフランスにあることが透けて見えますね。
こうやって国別人口で見ると、日本人が「ユーロ」に対して抱いていたイメージが、実際は2つ3つの国の動向に過ぎないことがわかります。
さて、3億5千万人のユーロ圏ですが、次の記事ではこれをさらに分解してみましょう!
続く