昨日、アニメソング界の帝王である水木一郎氏の訃報が伝えられた。
ここまで昭和時代のアニソン、特撮主題歌を紹介してきた当ブログ管理人も、この報せを聞いて悲しい思いを抱いております。
水木氏もまた、「昭和」を体現する人物であった。
昭和や平成初期まで、アニメや特撮の主題歌が純粋に子供向けであった。
故人の代表作であるマジンガーZをはじめ、特撮、ヒーローものの主題歌では主人公の名前が連呼され、「決め台詞」ももちろんあった。
女の子向けアニメも「キューティーハニー」や「アタックNo1」のように、やはり作品を全面に押し出した、その作品のためだけに生まれた主題歌が使用されていた。
今はアニメの主題歌ではあるものの、主題歌を離れて歌が単体でも存在できるような歌詞、曲になっているよね。
しかも「これ、こどもは歌えるのか?」というくらい、難しい言葉が出たり早口になったりする。
昭和のアニメ作品の主題歌は、まさにその作品だけのために作られたものであった。
そのため歌い手もそれぞれの作品を深く知る必要があった、とのこと。
ここは昭和と平成の大きな違い。るろうに剣心の「そばかす」は、「別にアニメを意識していない。という作品を知らなかった」と、後にジュディマリのメンバーが白状してしまった。
昭和と平成のアニソンの大きな違いは、そこだ!
昭和のアニソンは、歌い手もその作品に魂を込めているのだ!(100%主観です。平成以降の主題歌ファンの皆さん、ごめんなさい)
水木氏の歌がなぜ、心に残るのか。見ている子どもと同じ感情で、歌っていてくれたからなんだなあ、と実感していたところだった。
まあ、昭和と平成のアニソンの違いと言うと、昭和時代のアニソンって、完全に子供向けのものだったんだよね。大人が歌うものではない、と。童謡と同じような感じ。
しかもその後、あの「連続幼女誘拐事件」が発生し、アニメや特撮ファンは「気持ち悪い」を通り越して、犯罪者予備軍みたいに見られるようになったからね。
森口博子さんも、当時、ガンダムの主題歌を歌っている、と見られるのが嫌だった、と告白していますね。若いガンダムファンはおこるかもしれないけど、これはしょうがないんだよ。あの時代の風潮を考えれば。篠原涼子氏なんて、ストリートファイターの主題歌を歌っていたのに、当時、本人がひた隠しにして、「小室作曲」だけを強調していたっていうからね。
まだガンダム映画のキャンペーンに出ていた森口氏は頑張っていた!(お前はだれだ!)
その時代を超えて、今では政府が後押しする(そして失敗する)ほどの日本を代表する文化、になった。
森口氏なんて、今や若い人まで認める「ガンダムの女王」の地位を確立して、ガンダム関連のアルバムで1位を獲得してしまったからね!
水木一郎氏をはじめ、串田ヒロシ氏、影山ヒロノブ氏、宮内タカユキ氏などなど(他のも多くの巨匠がいる)は、そんなアニソン大逆行の時代でも歌い続けた方々。「第一人者」という言葉がふさわしい。
さて、タイトルで「W杯後のサッカー戦略」なんてご立派なことを書いてしまっているけど、ここまで何の関係もない話を書いてしまった。
ある深夜のスポーツ番組で、ワールドカップで活躍した久保選手が「吉田選手から、ブームは一瞬で終わるから、できる限りメディアにでてくれ、と言われたから出た」と発言。
正しいですね。世間のブームは一瞬にして終わってしまいます。
でもそれは「オトナ相手」の話。子供は違うね。
ウチにもコスタリカ戦で負けて泣いてしまった、という子供がたくさんいたし、スペイン戦を見るために遅くまで起きた、という子供もいた。
みんな、大人以上に感動しているし、記憶のどこかに残ってしまう。
そう、昭和のアニソンのように。
管理人のようなオッサンでも、いまだにカラオケでは水木一郎氏の歌を歌ってしまうし、このブログで宇宙刑事ギャバンの歌を紹介するレベルで身についてしまっている。
子供心に染みついた感動は、一生続く!
本当に良い例が森口博子氏で、当時はアニソンアイドルとして色眼鏡で見られたものの、そのアニメを見た世代が大きくなった今、「女王」の地位を不動のものにしてしまった!
しかし「深夜のスポーツ番組」を子供がみるか?
ワールドカップ後に日本代表が出るべきメディアは「子供が見るもの」にすべき!
ブームは一瞬で終わるが、まかれた種は必ず実を結ぶ!
数年前に日本ハムのファンフェスタで握手をしてもらった、という子供がいたんだよね。それをきっかけにして、その子は野球をはじめ、今ではショートを守っているからね。ショートって、大変だよね。あれ、運動神経とセンスと頭が良くないとできないよ。
選手にとっては「握手した」だけなんだろうけど、その子はいまだに野球をやっている。
せっかくこどもに大感動を残したんだから、マニアックなオッサンがメインの番組ではなく、「どさんこワイド」のような子供向け、主婦向けの番組に力を入れるべし!
戦略は、水木一郎氏に学べ!!
水木一郎氏のご冥福を、心よりお祈りいたします。