管理人はオトナ男子なため、男の子のことしか書けない。
そして、昔は「男子」の成長期には、「怪しげな存在」がいた。
「怪しげな存在」と書くと、今のご時世では犯罪のようなものを伺わせてしまうのだが、そういうのとは少し違う。
管理人は地方都市の出身だが、近所に国立の工学部の単科大学があった。
幼少のころは、そこの大学生に家庭教師をお願いしたので接点が多かった。
良いことじゃないのかもしれないけど、研究室にもお邪魔したことがあった。
地方都市、工学部のみの大学。
今でこそ「リケジョ」という言葉があって、理系を志す女性も珍しくないのだが、今から30年以上も前は、「理系は男子、文系は女子」という感じの色分けが強かった。
それでも大都市の工学部なら、他の学部があったり、同じ大学ではなくても他の大学との交流もあるのだろうが、「地方」であり、「工学部のみ」の単科大学。
そう、正に「男ばっかりの世界」であったのだ!
こう書くと、腐女子という人々は「イケメンばっかり」の妄想をするかもしれないが、工学部のために「オタク気質」な男が多い上に、地方都市で他の大学もなく、基本的に男しかいないため、必然的にファッションセンスは絶望的なほど感じられず、しかも「国立」のために多くは「貧乏学生」であったので、「お金をファッションに使う」という思考もない!見た目なんて気にしなくても4年間を過ごせてしまうのだ!(あくまで30年以上前の話です。)
そう、「イケメンたちの淫靡な世界」とは対極の「オタクたちの独立国」というほうがふさわしい!
当時はまだ「オタク」という言葉がなかったので、「極度のマニアのたまり場」の方があっているかもしれない。
彼らの話の内容はどれもマニアックなものばかり。自分は幼少のころから「極めてニッチな世界を追求する」ということに、必然的に慣らされることになってしまった!ロボットを作っちゃってた学生もいたらしい。
当時はまだパソコンは普及しておらず、それこそ研究機関にしかなかったため、学生たちのおもちゃとなっていた(らしい)。また「ガンダムを作ることはできない」ということを、「なんちゃら工学」だか「ホンニャラ物理学」に基づいて語られたこともあった。当然ながら、小学生がそんなものを理解できるわけがない。
「メカ生体ゾイド」って玩具、知ってますか?
今もアニメが放送されていて子供に一定の人気があるようだけど、自分の小学生のころに「ゾイド」が組み立て玩具として発売された。
今のゾイドはプラモデルに近いようだけど、当時のゾイドは接着剤を使わず、モーター部分からパーツを組み合わせていくことで恐竜型のロボットができ、しかもスイッチを入れれば勝手に歩行し、しっぽや首、手が動くといった動作まで再現されていた!
このゾイドを見たときの、当時の家庭教師だった工学部学生の興奮はすさまじかった!
なんでも、これは「ホンダラ工学」だかに基づいた、実はすっごい画期的なおもちゃだ、と。
つまり簡単な1種類の動作しかできないモーターにパーツを組み合わせることで、複数の動きに変換し、自立歩行までさせる、というのが、実はメチャクチャ学問的なのだそうだ。子供にとっちゃ、「見た目が格好いい」というだけだが、当時の工学部大学生は、その技術的な価値を理解して日本の玩具技術の高さを称賛していた。
・・・・・・そう、「どーでもいい」っちゃどーでもいい、実にマニアックなことに詳しいさまが、伝わると思う。
そんなもんだから、アニメも早い内から人気があったし、攻殻機動隊の原作者の漫画も、早い時期から「目がつけられて」いた。
また、工学部だからか、男ばっかりだからかよくわからないが、車やバイクに詳しい学生も多かった。自分で分解していた人もいた。
小学生にとって、「バイクに乗っている年上に兄ちゃん」は、憧れの対象である。
バイクに触らせてもらったりもした。
またよくわからないのに洋楽を聞かせてもらって、なんか大人の感じ、を体験したり、ギターやドラムなんかも初めて間近で見せてもらった。
サバイバルの方法やら、貧乏旅行の話、バイトでの面白い話などを聞かせてもらった。
思うに、男子の成長には両親や学校、塾、友達だけではなく、(健全な意味での)「怪しいお兄さん」の存在が不可欠なのではないだろうか?
親や毎日会っている家族からは知ることができないことを知っている存在が。
皆さんの周りにも、「怪しげ」だったり、奔放な伯父さん、叔母さんがいませんでしたか?
たまにしか会えないけど、なんだか面白いことを教えてくれる。
かつての子供は、そういう「怪しげな存在」に、自分自身はなれているか?
なお、ここで語った「大学生象」は、小学生だった当時の視点で見たものなので、実態と乖離している可能性はあります。その点は「子供の思い出」ということでご容赦ください。
そして、現在の地元の単科大学ですが、10年以上前に近くに看護大学ができて「女子率」が高まった結果、爽やかになってしまい、「マニアたちの王国」は消滅してしまった、とさ。うーん、なんか惜しいような気が。あの極度のマニアックさ、ニッチの魔窟っぷりは、新しい何かを生み出しそうな気もしたので。